窓展

 

2020/01/04 

窓展@東京国立近代美術館

 

 

www.momat.go.jp

 

窓をめぐるアートと建築の旅ということで、窓にまつわるいろいろな作品が展示されていた。「サッシに囲われたガラス」としての窓だけではない窓がたくさんあった。

 

今回入り口前に小さな冊子が置かれており、これは建築的・窓学的な立場から作品を読み解いたキャプションが記載されている。展示されているキャプションは美術の文脈からの作品紹介であり、この違いを見比べながら鑑賞することができ、作品をいろいろな視点から眺めることができた。

 

1章窓の世界で気になったのは北脇昇「非対称の相対構造(窓)」

ぱっとみて明らかに書院(または茶室)の竹を使った窓だとわかる。周囲をめぐる土壁の表現がより一層窓の格子を強調しているように見えた。作者がこの作品に、非相称的なものを描くと相称的な物に見えるという主張を込めたと知り、作品を見て遠くから見たら幾何学模様だが近くで見ると窓に見えたことに納得した。

設計課題でキャプションを読むのはナンセンスということを軸に美術館を設計した当時の自分に教えてあげたい感覚だ…。

 

2章窓からながめる建築とアートではピーター・アイゼンマン「住宅第4号」のアクソメ図

四角く切り取られた板が組み合わさって空間を形作っていると、切り取られた部分は窓にしか見えないというのが感想である。ピーター・アイゼンマンを機に初めて耳にしたホワイト派の建築作品をみたが、どれも窓が大きく、それは窓というより面という印象だった

 

3章窓の20世紀美術Ⅰでは写真作品ロベール・ドアノーの作品が印象的

中年夫婦がギャラリーのような場所で絵を見ている…女性と男性はこちらから見ると裏側しか見えない額の前に並んで立っているが絵を見ているのは女性だけで、男性に何かを語りかけているようだが男性は隣の絵画を眺めて上の空な様子。男性が眺めている絵画は背を向けた裸婦がドア(または壁)の隙間に顔を近づけているシーンが描かれている。

この様子が窓越しに取られている写真を鑑賞する。男女と鑑賞者の間には何枚ものスクリーンがあることで干渉できない空間を共有している感覚だった。こう感じるのも作品における窓枠または窓の配置が関係しているのか…?

このロベール・ドアノー調べてみると気になる写真がたくさん出てきた。時間があるときに調べてみたい。

 

4章窓の20世紀美術Ⅱ

マルセル・デュシャンの窓をみて…星の王子様ミュージアムの建物の窓を思いだした。当時、窓を外側からのぞき込むと真っ黒で自分が反射したことに違和感を感じた。どういう意図で作られたかは不明だが、こういう感覚とartは大きくかけ離れたものではないみたい。ジョセフ・アルバースの「正方形賛歌」がお気に入り。ずっと見ていると吸い込まれていきそうなと思いきや押し出されそうな…そんな印象を受けた。

 

5章窓からのぞく人Ⅰではやっぱり林田嶺一の立体作品

パッと見るとポップでかわいらしいおもちゃ屋のショーウィンドウのような…しかし表現しているのは4歳の時レストランの窓越しに見た第二次上海事変の光景。3章ではスクリーンによってどこか一歩引いて作品鑑賞ができる、と感じたがこの作品は何とも言えないもそもそ感…違和感がこちらに入り込んでくるような感覚であった。作品の形態が違うだけでなはい何かがあるような気がする。

 

6章窓の外、窓の内では和歌山の女子刑務所の作品二枚

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右:窓枠が四角いっぱいかつ手前が暗くなるとこちらが閉じ込められているように、左:窓枠が遠巻きになり手前が明るいかつ外部だと写真に写る対象が閉じ込められているように見える。3章でも感じたように、窓枠の位置と明暗で見え方が変わってくるように思う。

 

この後続いた映像・立体作品で興味深かったのは…

8章窓からのぞく人2ヨゼフ・ロバコフスキ「わたしの窓から」

窓から見える広場で繰り広げられる日常を、本人のナレーションで解説しながら

展開していく映像作品。一方向的な視線ははじめは不気味な感じがしたが、撮影していることを知っている方が登場したり、ナレーションの雰囲気からだんだんと面白いものへと変わっていった。彼のナレーションがどこまで真実だか全くわからないが、そういうものだと思ってみるとすべてが真実に聞こえたりもする。

 

10章窓はスクリーンではJODI「My%Desktop OSX 10.4.7」

ここまでの窓(window)とは異なるあたらしい窓の出現に驚いた。確かにwindowは窓でありここにきて新しいものがまた取り込まれた。映像としてはあの音が忘れられない…。少し怖さもありながら心地悪くはない不思議な体験だった。

 

13章窓は希望ではゲルハルト・リヒター「8枚のガラス」

ガラスが傾きを持って重なると万華鏡のような模様が映し出されることに驚いた。こういった素材による体験をアイデアとして積み重ねることが大事なことなのだと思う。もっと興味を持っていろいろなことを体験し感じたことを記憶・記録していく一年にしたい。

 

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久々の投稿で書くのにだいぶ時間がかかってしまった…

今年は体験と記録を達成すべく頑張りたい

 

おわり